嬉野温泉のひさご旅館に泊まってみた! あなたも一緒にヒサガーになろう

更新日

今回は嬉野温泉の旅館「ひさご旅館」をご紹介します。

客室数は4室。家族3人で営まれている、老舗の宿なのだとか。2022年12月にリニューアルしました。旅館大村屋の北川健太さんからの紹介コメントを見てみましょう。

大村屋・北川
「ヒサガー」と呼ばれる、多くのファンに支えられている宿です。口コミとリピーターの方々だけで、予約がどんどん埋まっていきます。私自身、昔から「ひさご旅館のようになりたい」と憧れる宿です。

北川さんからここまでの評価を得る「ひさご旅館」。これは気になる……。今回は北川さんと一緒に宿泊してみようと思います。

嬉野温泉のひさご旅館とは? 基本情報と予約方法

ひさご旅館は1965年に創業した旅館で、嬉野温泉の温泉街の中にあります。旅館大村屋からも程近く、近隣には温泉湯どうふの名店「宗庵よこ長」や「ホテル桜」があります。

まるでカフェのようなロビー。1階のテーマは「CLOUD 雲」と銘打たれており、雲をイメージするようなデザインも多く見受けられます。

我々も雲の上にいるかのように、くつろいじゃいました……。

宿泊者だけが行ける雲の上の世界が、2階の「THE SKY 天空」です。客室は4部屋あり、「藍 ai」「天 ten」「燕 en」「華 hana」と、それぞれでコンセプトが違っています。

「燕 en」(公式サイトより)

お風呂は貸切風呂が2種類あります。「みかん風呂」と「紅茶風呂」です。

みかん風呂

貸切風呂は予約制ではなく、入浴時間内に内線電話で連絡すれば、何度でも利用可能です。そのときの空いている貸切風呂を案内してくれます。

ちなみに、ひさご旅館の予約は、ネットエージェントを介して行うことはできません。公式サイトの注意事項をよく読んで、直接ご予約ください。

ひさご旅館のご予約はこちら

旅館大村屋・北川健太が考える「ひさご旅館」のポイント

編集長・大塚
同じ嬉野温泉の宿を「憧れ」とまで語るのには、驚きました。なぜそこまで思われるのか、教えてほしいです。
大村屋・北川
間違いなく「憧れ」ですよ。私が「ひさご旅館が凄い」と思う、ポイントは主にこの4つです。
  • 若女将のセンスが光る、唯一無二の空間
  • 宿泊者の心をわしづかみにする3代目若旦那の美味しい料理
  • フレンドリーで、あたたかい接客
  • ひさご旅館をリピート宿泊する「ヒサガー」の存在

ひとつひとつ見ていきましょう。

ひさご旅館のポイント①唯一無二の空間

大村屋・北川
あまり、旅館っぽくないですよね。ひさご旅館ならではの、唯一無二の空間を生み出していることが、まず大きな魅力だと思います。

たしかに。旅館というよりは、どなたかのお宅にお邪魔させていただいているような感覚です。そのように感じるのは、館内のいたるところにあるアートなどの品々。

リニューアル後は外観も旅館っぽくなくなったことで「何のお店ですか?」と、中を覗きに来るお客様も増えているのだとか……。

おしゃれなカフェっぽい雰囲気もあり、気になってしまう気持ちもわかります。

大村屋・北川
「旅館のしつらえ」としてではなく、若女将の感性で構成されているところが魅力です。若女将が「ひさご旅館」に入り、10数年でこのような世界観を持つ宿になりました。

とにかく「ひさご旅館」の中の様々なインテリアがかわいい。とくに目立つのは「ひさご」=「瓢箪」の形をした、さまざまなアイテムたちです。

大村屋・北川
館内での「ひさご探し」も、楽しめると思います!

至る所に「ひさご」が隠れているので、ぜひ見つけてみてください。

ひさご旅館のポイント②宿泊客を虜にする美味しい料理

ひさご旅館の魅力は、なんといっても、3代目の若旦那がつくる、とびっきり美味しい料理です。公式サイトには「味に恋するような料理」という、すてきな言葉で表現されていました。

茶碗蒸し、中にいくらが輝いていました。とにかく嬉しい仕掛けがたっぷりで、一品一品にわくわくさせられます。

大村屋・北川
ひさご旅館さんがネットエージェントに掲載していたころは、何年も連続で「食事 5.0」で満点評価でしたよ。若旦那の料理は大きな魅力なので、ぜひ味わってほしいですね。

口コミが抜群なのも納得。旬のものや、地元佐賀で馴染みの食材などを使った絶品の料理を堪能してください。

ひさご旅館のポイント③フレンドリーであたたかい接客

ひさご旅館は、若女将の心温まるフレンドリーな接客も大きな魅力のひとつです。仲の良い親戚が増えたかのような暖かさ、親しみやすさ。

「暮らしているように泊まる宿」というのも、コンセプトのひとつなのだそうですが、そのコンセプトもしっくりきます。

大村屋・北川
「フレンドリーな接客」って、簡単なようで難しいんです。これは実際に体験してみないとわからないので、ぜひ宿泊して感じてほしいです。

大きなホテルとは違い、旅館だからこその「フレンドリーな接客」。そのバランス感覚は、難しそうです。

大村屋・北川
高度経済成長期以降、嬉野温泉の旅館の規模はどんどん規模が大きくなっていったんです。でも、もともと嬉野にはフレンドリーな接客の小さな旅館がたくさんありました。これが、嬉野の自然な形なんです。
若女将 木島佳代子さん

規模が大きくなればなるほど、サービスは画一的になりがちで、「どのお客様も平等に」という意識で、平均的なものになりやすくなる側面があります。実際、現代ではそのようなサービスを求めるお客様もたくさん存在しており、どちらが良いというものではありません。

ひさご旅館は4室という規模感で、嬉野でもトップクラスのミニマムさです。だからこそ、若女将をはじめとするスタッフのまっすぐな愛情や真心が、宿泊客の一人ひとりにまで行き届くという魅力があると感じました。

これはひさご旅館が、ひさご旅館たる、大切なアイデンティティだと思います。

公式サイトより

ちなみに若旦那の「似顔絵」もアイデンティティのひとつ。撮影した写真をもとに、宿泊客の似顔絵を描きます。これもまさに、ひさご旅館ならではの、独自性あふれるサービスです。

ひさご旅館のポイント④”ヒサガー”の存在

大村屋・北川
ひさご旅館の最大の特徴は、尖った個性に強く共感するファン「ヒサガー」が存在することです。現在、リピーターの割合が9割という奇跡の宿です。だから、ネットエージェントを使わなくても、集客できるというわけです。

通常、同じ旅館に何度も何度も泊まるということはしないかもしれません。しかし「ひさご旅館」では、2回以上宿泊した人の方が多数派なのです。

実際にサイトを見てみると、近い日程はほぼ満室。これはたしかに凄い……。

大村屋・北川
ネットエージェントに頼らず、リピーターと口コミだけで高稼働を維持するというのは、旅館を持続する上で理想的なことです。私の中で「旅館の最先端」だと思っています。

ひさご旅館は、何か特別な最先端の経営施策を打ったわけではありません。

ひさご旅館にとって、自然な形で愛情のあるサービスを追求した結果が、唯一無二の空間、料理、接客につながっていたのです。

ひさご旅館を体験し、あなたも「ヒサガー」になろう

若旦那の木島陽一朗さん(右)と若女将の木島佳代子さん(左)
CHECK!
  • センスが光る唯一無二の空間
  • 宿泊者の心をわしづかみにする美味しい料理
  • フレンドリーで、ホスピタリティの高い接客
  • ひさご旅館をリピート宿泊する「ヒサガー」がいる

北川さんが「憧れ」とまで語る理由がわかりました。プライベートでも何度か泊まりに行っているのだそう。嬉野に住んでいるのに、嬉野の旅館に泊まりに行くって。北川さん自身がかなり濃い「ヒサガー」なんですね……。

ぼくもあたたかみのある接客を受けたことで、また戻りたくなるような、帰ってきたくなるような、そんな気持ちにさせられました。もうぼくも「ヒサガー」になっちゃっています。

一泊して終わりではない、持続性のある関係性が生まれる。そんな魅力が「ひさご旅館」にある気がしました。あなたも「ヒサガー」になってみませんか?

あわせて読みたい記事:<湯けむり通信>#6 依存から脱却した旅館(佐賀新聞)

※掲載内容は、取材当時の情報であり、各種詳細に関しては変更の可能性があります。現地でご確認ください。

執筆者
大塚 たくま
ライター。嬉野温泉暮らし観光Webガイド編集長。月に一度、嬉野温泉に宿泊した取材活動を2020年から継続中。