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【この人この一言】〜読売新聞夕刊一面 H22.7.27〜


読売新聞九州版の夕刊一面

この旅館の宿泊料を値引きさせるのは意外にたやすい。
温泉街の散策ついでにごみを拾う。選挙の投票に行くと約束する。
それで平日は約2000円安くなる。

由緒ある佐賀の嬉野温泉で江戸時代から続く老舗とは思えない発送が目が引く。生まれ育った温泉街は好きだったが休みなく働く両親の姿も間近に見てきた。「後継ぎになりたいとは思わなかった」。
大学ではマスコミ論を専攻。音楽雑誌の編集者を目指した。

その気持ちを一変させたのは高い時給に引かれて始めたベルボーイのアルバイトだった。ホテルの客とスムーズに会話ができ、先輩から「やり取りがうまい」と褒められた。思えば子供の頃から客に声をかけたり、かけられたりして育った。

「接客業は自分に合っている。実家が旅館なのは幸せかもしれない」
ただ23歳で引き継いだ実家は窮地に陥っていた。旅行の主流は団体客から個人客に、予約も旅行会社経由からインターネットに変わっていた。
時代の変化について行けず客は減少の一途をたどっていた。

自ら写真を撮影したり、ホームページを一新。それから頭をひねり、
遊び心をくすぐる30以上の集客プランを生み出した。
スリッパを使って話題になった卓球大会もその一つ。
「環境は厳しくても、生き残る道は必ずある。」
徐々に反響が広がり売り上げも上向きになった。

「楽しめる仕掛けを旅館がつくれば、旅はもっと面白くなる。」

いつか、卓球大会に福原愛選手を招くのが夢だ。